早春の黒い軍勢:ハクサイダニ
この記事では、
1月~2月頃に多く発生する
ハクサイダニによる野菜被害の特徴と、
ハクサイダニの見た目や駆除方法について
写真付きでリアルに解説しています。
目次
目次
1:ハクサイダニの襲来
2月頃の畑で。。。
(左:健全な葉 右:異常のある葉)
(左:健全な葉 右:異常のある葉)
やれやれ、
ハクサイダニが
発生したようだね。
そう。
どういった虫なのか見てみよう。
2:【畑の虫でーた:ハクサイダニ】
2-1. 体の特徴
黒い胴体とオレンジ色の脚が特徴のダニ。
肛門が胴体の背中側にあり、
排泄した液が球状になって
胴体に乗っていることが多い(下図)。
※:大きさは、黒ゴマより少し小さい程度
※:ハクサイダニと見た目が似たダニに、
ムギに被害を与えるムギダニがいる。
2-2. 野菜への被害
野菜の表面をかじって液を吸うため、
被害を受けた野菜は、
葉の色が部分的に白っぽくなる。
被害が大きいと、
葉の色が銀白色(テカテカした白色)に変わり、
野菜が枯死することもある。
(下図:ホウレンソウ)
(下図:ダイコンの芽生え)
2-3. 発生時期
11月~4月の間に
成虫が現れて繁殖を繰り返す。
12月~2月に多く発生し、
冬が暖かい年は大発生しやすい。
4月以降から秋にかけては、
卵の状態で地中で休眠している。
2-4. 被害の対象となりやすい野菜
・アブラナ科の野菜(キャベツ、ダイコン、ハクサイ、チンゲンサイなど)
・ホウレンソウ、レタスなど
3:まずは、ダニの存在に気づくことが重要
という事はわかったけど、
一体、ダニはどこにいるの?
野菜の茎元や地際を
よーーく見てみよう。
うわー、いっぱいいた!!
(左:ホウレンソウ 右:ダイコンの芽生え)
日中だと、
ハクサイダニの多くは、
直射日光の当たらない茎の元や
葉の裏にいるけど、
夜になると、葉の表側など
見つけやすい所に出てくるよ。
さらに、
背中側にくっついている
球状の排泄液は、
懐中電灯の光に当たると
光の玉のように美しく輝いて
見えるのでとても目立つ!
※:ダニの数が多いと
おぞましい光景になるので要注意。
一体どうしたらいいんだろう?
ハクサイダニは、
とてつもない繁殖力を持っていて、
数で勝負してくるので、
完全に駆逐するのは難しい。
けれども、いくつか
対処方法があるから見てみよう。
4:大量発生した場合の防除マニュアル
4-1. 農薬を使う場合
日本国内で使用できる
ハクサイダニに対応した農薬の種類は、
多くはありません。
2021年2月現在では、
コマツナ、ホウレンソウ、シュンギクなどについて
登録農薬が販売されています。
4-2. 農薬を使わない場合
①被害の大きい野菜を廃棄する
被害の大きい野菜には
ハクサイダニの卵が多く
付着しています。
そのため、早めに取り去って
畑外に廃棄します。
被害を受けた野菜から枯れ落ちた
葉なども畑外に廃棄しましょう。
②毎年大発生する場合は、太陽熱消毒をする
毎年大発生して手に負えないような場合、
夏場に畑にビニールシート(透明マルチなど)を引いて、
太陽の熱によって地面付近を高温状態にして
休眠中の卵を駆除する方法もあります。
実際に、ハクサイダニが大発生した畑で、
太陽熱消毒を行う場所と、行わない場所を決めて
試してみると、
翌年、太陽熱消毒を行っていた場所では
ハクサイダニが見当たりませんでした。
太陽熱消毒を行っていない場所では、
大発生しました。
このように、ハクサイダニに対する
太陽熱消毒の効果は大きいと思われます。
ただし、この方法には
以下のデメリットがあります。
・太陽熱消毒の間、約1カ月間、
野菜を栽培できない。
・ハクサイダニ以外の生物も
多く排除してしまう。
以上を考慮したうえで、
試しましょう。
ハクサイダニ対策としての
太陽熱消毒の方法例は
次の通りです。
【時期と手順】
時期:
7月~8月の暑い時期に1カ月間
手順:
①太陽熱消毒を行う場所に生えている
野菜や大きな草を抜きとる。
②地面の表面から5センチほど深くまで
しみるように水をたっぷりかける(下図)。
※:土が湿っていることで、より温度が
上がりやすくなります。
※:雨を利用すると手間が省けます。
③ビニールシート(透明マルチなど)を
畑に敷き詰める。
※:晴れた日の日中なら、
シートをかけてすぐにシートの下が
熱くなります。
④1カ月の間放置する。
途中、土が乾燥してしまった場合は、
再度、水をたっぷりかける。
⑤1カ月たったらシートを外して
畑として利用する。
なお、経験上、
ハクサイダニの卵を含む土が
靴底や農機具にくっついて
運ばれることが、
ハクサイダニが短期間で畑じゅうに
広まる要因の1つになっていると
思われます。
太陽熱消毒をした場所へ
再度、ハクサイダニを持ち込まないように
注意しましょう。
5:おわりに
ハクサイダニが大発生した場合は
早めに思い切って対処することで、
被害を軽減することが出来る。
出てから気づいたけど、今度は、もっと目をこらしながら
畑を見てまわるぞ~。
ハクサイダニって凄い。。。