遺伝情報、DNA、ゲノム、染色体、遺伝子の違い。5つの混乱ワードを入試での必勝ワードに変えよう!

目次

1:ベースはDNA

遺伝情報、DNA、
ゲノム、染色体、遺伝子、、、。

これら5つの用語は、
現代の生命科学の根幹を担う語で、
生物基礎入試のキーワードにもなっています。

そんな大事なキーワードなのに
意味の違いがよく分からない!
何とかして~。

ボンボ
ボンボ

5つの用語の意味は
それぞれ異なりますが、

いずれもDNAを中心に
関係しあっています。

このため、DNAをベースにして
それぞれの用語を整理すると
分かりやすいのです。

というわけで、まずは
ベースとなるDNAについて
今回必要なポイントを確認しましょう。

1:DNA

※DNAの構造、特に塩基配列に
ついて学習済みの場合は、
この1章は飛ばしても構いません。

DNAの詳細は
『DNAの二重らせん構造と塩基配列』
で解説していますので、

ここでは、
他の4つのワード(遺伝情報、ゲノム、
染色体、遺伝子)の理解に必要な
ポイントのみを解説します。

DNAというのは
デオキシリボ核酸という
物質のことです。

DNAは
二重らせん構造
という形をとっており、

全体としては
細長い糸状の形をしています。

この構造の中には、
塩基(えんき)という物質が対になって
2列に長々と並んでいます。

DNAの塩基は4種類あり、
それぞれの塩基名の頭文字をとって
A、T、G、Cと書かれます。

4種類の塩基の並び方は
DNAの部分によって様々で、

列になった塩基の並び方のことを

塩基配列

と呼びます。

例えば、
1列の塩基配列の一部を

・・・AAATCGGTAGA・・・

のように書くことが出来ます。

ここまでの知識をもとにして、
残り4つの混乱ワードを片づけましょう。

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2:遺伝情報とDNAの違い

生物の形質(形や性質)を決め、
親から子へと伝わる情報のことを

遺伝情報

といいます。

身近な例を挙げると、

母ネコと父ネコの間に

ネコが生まれるのは、

ネコとしての形質を決める遺伝情報が
親ネコから子供へと伝わる
ことによるのです。

まとなが ねぎと
まとなが ねぎと

遺伝情報は
DNAと何が違うの?

遺伝情報を担う物質は
DNAなのです。

より詳しく言えば、

遺伝情報は、
DNAの塩基配列として
DNAの構造の中に含まれている


のです。

例えるなら、

生物基礎の情報が、
文字の配列として
教科書の中に含まれている

という事と似ています。

では次に、ゲノムの話へと
つなげましょう。

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3:ゲノム、染色体は、DNAと何が違うの?

ゲノムという言葉は、
ある特定の遺伝情報、言いかえれば
ある特定のDNAの塩基配列のことを
示しています。

“ある特定の” が何を意味するかは、
原核生物のゲノムと

真核生物のゲノムでは異なります。

生物基礎では
真核生物のゲノムについて
詳しく取り上げます。

うぅ、真核生物って何だっけ?

ボンボ
ボンボ

とりあえず今は、

真核生物の細胞の中には
膜で包まれた核という構造があり、
核の中にはDNAが入っている

ということを
押さえておきましょう。

さて、ここからは、
染色体(せんしょくたい)という
言葉が出てきます。

話が少し脇道に
それるようにも見えますが、

染色体の意味と
ゲノムの理解はもちろん、

親から子への
遺伝の妙技の解説にも
つながる道ですので、

しっかり
歩いていきましょう。

染色体というのは、

DNA(長い)が折りたたまれて
コンパクトになったもの


と押さえておきましょう。

真核生物の細胞の核内には
複数本のDNAがみられ、

それぞれのDNAごとに
染色体を形成しています。

このため、
真核生物の細胞の核には
複数本の染色体がみられます。

DNAの長さや
折りたたまれ方の違いによって、
染色体の形や大きさは異なります。

真核生物のからだを
形作っている細胞(体細胞)には、
ふつう、

形と大きさが同じ染色体が
2本ずつ存在
しています。

ヒトを例に挙げましょう。

ヒトの体細胞には
46本の染色体があります

この46本の染色体の内訳は、

同形同大の染色体が
2本ずつ23対ある

となっているのです。

なすき ゆり
なすき ゆり

どうして2本ずつあるの?

2本になった仕組みをいうと、

同形同大の2本の染色体のうち、

片方1本は父親(オス親)に由来し
片方1本は母親(メス親)に由来する


のです。

じゃあ、親の細胞には
同形同大の染色体が
1本ずつしかないの?

ボンボ
ボンボ

もちろん、親の体細胞にも
同形同大の染色体が
2本ずつあるのですが、

体細胞から生殖細胞(精子や卵など)という
細胞が作られる時に、

2本のそれぞれが
別々の生殖細胞へと分配されるのです。

そして、生殖細胞が
受精をして受精卵になると、

再び、同形同大の染色体が
2本ずつに戻るのです。

もう一度、
ヒトの例で見ていきましょう。

ヒトの体細胞には
同形同大の染色体が2本ずつ
23対あるのでした。

生殖細胞が作れられる時に
23対の染色体全てにおいて、

2本のそれぞれが別々の
生殖細胞へと分配されます。

このため、
ヒトの生殖細胞には
形と大きさが”異なる”23本の
染色体がみられるのです。

そして受精を経て再び、
同形同大の染色体が2本ずつ
23対ある細胞(受精卵)ができます。

へぇ~。
上手く出来てるなぁ。

ボンボ
ボンボ

では、いよいよ
ゲノムの話に戻りましょう。

ゲノムという言葉は、
ある特定の遺伝情報(DNAの塩基配列)
のことを示すと言いました。

ここでは改めて、
ゲノムの意味を言いましょう。

すなわち、

真核生物のゲノムとは、

同形同大の染色体の片方1本ずつを

集めた1組に含まれる
全ての遺伝情報(全ての塩基配列)のこと


なのです。

上記の染色体の1組が

体細胞には2組ぶん、
生殖細胞には1組ぶん含まれるので、

体細胞には2組のゲノムが、
生殖細胞には1組のゲノムが
含まれる
のです。

生殖細胞には1組のゲノムが
含まれることから、

ゲノムは、生殖細胞がもつ
全ての遺伝情報(全ての塩基配列)に相当する

とも言われるのです。

まとなが ねぎと
まとなが ねぎと

ゲノムの意味は分かったけど、
どうして、その1組の染色体の
遺伝情報に注目するの?

ゲノムには、

生物が自らを形成して、
維持していくために必要な
ひとそろいの遺伝情報が含まれている


のです。

例えば、
ヒトが生命を維持していくためには、
インスリンという物質の情報や
コラーゲンという物質の情報など
様々な遺伝情報を必要とします。

これらの情報がひと通り、
ヒトのゲノムには
含まれているのです。

実際にヒトが生きていく時には、
ゲノム2組ぶんの遺伝情報を
活用しています。

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4:ゲノムサイズ(ゲノムの大きさ)

ゲノムサイズ(ゲノムの大きさ)は、
DNAの塩基対の数で表します。

例えば、
ショウジョウバエでは、1億6500万塩基対。
ヒトでは、約30億塩基対です。

ヒトのゲノムサイズ(約30億塩基対)は、

テスト対策として記憶しておきましょう。

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5:遺伝子とDNA、ゲノムの関係

最後は遺伝子について、
DNA、ゲノムと関連させて
解説しましょう。

DNAの塩基配列は、

タンパク質をつくるための
情報を担う部分と

その情報を担わない部分
とに分けられます。

前者の、

タンパク質をつくるための
情報を担う部分のことを

遺伝子

といいます。 


数多くの遺伝子が
塩基配列の各々の位置を
占めています。

真核生物のDNAの場合、
遺伝子の部分は
塩基配列全体のごく一部です。


例えば、

ヒトのゲノムには、

約2万個の遺伝子があると
推定されていますが、

遺伝子の部分を全て合わせても
ゲノムの塩基配列全体の約1%程度なのです。

残り約99%は何なの?

ボンボ
ボンボ

遺伝子ではない部分です。

詳しくは生物基礎の範囲外ですので
ここでは割愛しますね。

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