『生物基礎』日本のバイオーム:水平分布、垂直分布

この記事について』

ボンボ
ボンボ
うわぁ~、世界のバイオームの次は、
日本のバイオームのかぁ。。。涙

はい、そうです。

でも、
日本のバイオーム(水平分布と垂直分布)
内容の約70%は、

前の記事
「バイオームの覚え方のコツ:世界のバイオーム編」
そ読んでいれば、すでに学習済みです。

そのため、できれば、
前の記事を読んだあとで、
この記事に進めれば理想的ですが、

まだ読んでいなくても、
この記事を読み進めることができます。

世界のバイオームと同じ内容を扱う部分では、
下の例のように、該当箇所への
「リンク」をつけてあります。

例:「世界のバイオーム:照葉樹林」を参照

リンク先の該当箇所を読み終えたら、
前の画面に戻る操作をしてくれれば、
日本のバイオームの読んでいた場所へ戻れます。

残りの約30%は、
新しく加わる内容ですので、

【覚え方】(※)という項目で
暗記をサポートしましょう。

※:【覚え方】では、植物名などの知識を
暗記するコツを教えます。
mokuji


1:日本のバイオーム

陸上において、
バイオーム(生物群系ともいう)とは、

ある地域の植生と、
そこに生息する動物などを含めた
全ての生物の集まり

のことです。

バイオームの種類と分布は、主に
年平均気温と年降水量に対応しています。

日本列島は、ほぼ全域にわたって、
森林が形成できる程度に
降水量が豊富です。

このため、日本では、
一部の地域(人為的な影響のある地域や高山など)を除き、
森林(のバイオーム)がみられます。

そして、
どのようなタイプの森林になるかは、
気温によって決まるのです。

日本列島は、
・南北に長い
・標高の違いが著しい
という特徴があります。

一般に、気温は、

・高緯度になるほど
・標高が高くなるほど

低下します。

日本列島で
真夏の避暑地として選ばれるのは、
ふつう、

北のほうの北海道や、
標高の高い地域などですね。

こうした気温の違いのため、
日本のバイオームの分布には、

・緯度の違いに対応した分布
・標高の違いに対応した分布

が見られます。

まずは、
緯度の違いに対応した分布について
解説しましょう。

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2:水平分布

2-1. 水平分布とは

緯度の違いに伴う気温の変化に対応した
バイオームの分布のことを、

水平分布

といいます。

日本列島にみられる、
気温によって区分される気候帯と、

各気候帯に対応する
森林のバイオームは、

低緯度の地域から
高緯度の地域に向かって、

・亜熱帯:亜熱帯多雨林

だん温帯:照葉しょうよう樹林

れい温帯:夏緑かりょく樹林

・亜寒帯:針葉樹林

と変化します。

2-2. 日本の亜熱帯多雨林

①分布

亜熱帯の地域 (沖縄~九州南端)
下図を見て、大体の位置をつかんでおこう。

日本の亜熱帯林の分布域の図

②植生

・常緑広葉樹が優占
・河口付近にマングローブ林(マングローブともいう)が見られる

③代表的な植物

ガジュマル、アコウ、ヘゴ(木生シダの一種)

→ 亜熱帯多雨林の知識、覚え方は
  「世界のバイオーム:亜熱帯多雨林」を参照

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2-3. 日本の照葉樹林

①分布

暖温帯の地域(九州~中部地方の低地、関東地方の低地)
下図を見て、大体の位置をつかんでおこう。

日本の照葉樹林の分布域を示す図

②植生

クチクラ層が厚く、
硬くて光沢のある葉をもつ
常緑広葉樹が優占

③代表的な植物

シイ類(スダジイなど)、カシ類(アラカシなど)、タブノキ、クスノキ

 照葉樹林の知識と覚え方は
 「世界のバイオーム:照葉樹林」を参照

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2-4. 日本の夏緑樹林

①分布

冷温帯の地域(中部地方の内陸から東北地方、北海道南部の低地)
下図を見て、大体の位置をつかんでおこう。

日本の夏緑樹林の分布域を示す図

②植生

冬に落葉する落葉広葉樹が優占

③代表的な植物

ブナ、ミズナラ、カエデ類

→ 夏緑樹林の知識と覚え方は
「世界のバイオーム:夏緑樹林」を参照

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2-5. 日本の針葉樹林

①分布

亜寒帯の地域(北海道北東部)
下図を見て、大体の位置をつかんでおこう。

日本の針葉樹林の分布域を示す図

なお、北海道中央部では、
夏緑樹林から針葉樹林へと
バイオームが緩やかに変化しており、
落葉広葉樹と針葉樹が混じった森林が見られます(下図)。
日本の落葉広葉樹と針葉樹の混じる森林の分布を示す図

②植生

寒さに強い常緑針葉樹が優占

③代表的な植物

エゾマツ、トドマツ

エゾマツの葉の写真 トドマツの葉の写真

※上写真:エゾマツ(左)、トドマツ(右)

後の解説で、高山に分布する
ハイマツというマツが出てきます。

ごっちゃにならないよう、
エゾマツ、トドマツはフルネームで
覚えましょう。

【覚え方】

・エゾマツ
“エゾ”とつくのは、歴史上、北海道や樺太などの地域を
蝦夷地(えぞち)と総称したことに由来します。

・トドマツ
トドマツの名前の由来とは無関係ですが、哺乳類のトドは、
冬から春に海を渡って北海道へとやってきます(下図)。

トドの絵

 

では、次の項目から
標高の違いによるバイオームの分布について
解説しましょう。

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3:垂直分布

2-1. 垂直分布とは

標高の違いによる気温の変化に
対応したバイオームの分布

垂直分布

といいます。

一般に、気温は、
標高が100 m 高くなると
約0.5~0.6 ℃ 低くなります。

標高の差が3000 mあると、
気温の差は約15~18 ℃となり、

これは、
緯度の違いによる
気温差に置き換えると、

秋から春にかけての、
北海道と沖縄の
月平均気温の差に相当します。

日本列島において、
低緯度の地域から高緯度の地域にかけて、

・亜熱帯多雨林
・照葉樹林
・夏緑樹林
・針葉樹林

という、バイオームの
水平分布が見られるように、

本州中部の場合、
標高の低い場所から高い場所にかけて、

・照葉樹林
・夏緑樹林
・針葉樹林、
・低木林、高山草原(お花畑)

という、バイオームの
垂直分布がみられます(下図)。

水平分布と垂直分布を示す図

なぜ、本州中部を
取り上げたかというと、

本州中部には標高の高い山が多く、
みられるバイオームの種類も多いため、

日本における垂直分布は、
ふつう、本州中部の垂直分布を用いて
解説されるからです。

以降の解説でも、
本州中部における垂直分布
を解説
しています。

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3-2. 低地帯(丘陵帯)

標高700 mくらいまでは、

クチクラ層が厚く、
硬くて光沢のある葉をもつ
常緑広葉樹が優占する

照葉樹林が分布しており、

低地帯あるいは、
丘陵帯(きゅうりょうたい)

とよばれます(下図)。

低地帯の位置を示した図

※上図:左側が夏、右側が冬の樹木の様子を示す。

シイ類(スダジイなど)、カシ類(アラカシなど)、タブノキ、クスノキ
などが優占しています。

→ 照葉樹林の知識の覚え方は
 「世界のバイオーム:照葉樹林」を参照

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3-3. 山地帯

標高700 m~1500 mくらいの間は、
冬に葉を落とす落葉広葉樹が優占する
夏緑樹林が分布しており、

山地帯(さんちたい)

とよばれます(下図)。

夏緑樹林の位置を示す図

※上図:左側が夏、右側が冬の様子を示す。

ブナ、ミズナラ、カエデ類などが
優占しています。

→ 夏緑樹林の知識の覚え方は
「世界のバイオーム:夏緑樹林」を参照

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3-4. 亜高山帯、森林限界

①亜高山帯

標高1500 m~2500 mくらいの間は、
主に常緑針葉樹からなる
針葉樹林が分布しており、

亜高山帯(あこうざんたい)

とよばれます(下図)。

針葉樹林の垂直分布を示す図

シラビソの仲間(シラビソ、オオシラビソなど)、
コメツガなどが優占しています。

オオシラビソの葉の写真 コメツガの写真

※上写真(左:オオシラビソの葉 右:コメツガの葉と果実)

コメツガは、葉がコメのように小さい事が
名前の由来です。

②森林限界

亜高山帯の上限の地帯は、

森林限界

とよばれます(下図)。

森林限界の位置の図

※上図:本州中部では、約2500 m付近が
森林限界となっています。

森林限界よりも標高の高い場所では
高木の森林が見られなくなります(下図)

森林限界付近で撮った写真。手前には、高木の森(亜高山帯)が、奥には、高木のない高山帯がうつっている。

※上写真:富士山の森林限界付近で撮影
写真の手前には高木の森林がみられ、奥(頂上付近)では
高木が見られなくなる。

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3-5. 高山帯

森林限界よりも
標高の高い場所のことを、

高山帯

とよびます(下図)。

高山帯の位置を示す図

高山帯には、

・低木:
 ハイマツ、キバナシャクナゲ、コケモモ など

・草本の高山植物:
コマクサ、ハクサンイチゲ、クロユリ など

による植生が見られます。

具体的には、
ハイマツやキバナシャクナゲによる
低木林や、

夏には、草本の高山植物が一斉に開花した
高山草原(お花畑ともいう)が見られます(下写真:お花畑)。

お花畑の写真

【覚え方:ハイマツ】

うように生育することが
ハイマツの名前の由来とされています。

下の写真は、ハイマツの低木林の写真です。
ハイマツの地面からの高さが、ヒトの身長よりも
低いことがわかります。

ハイマツの写真

また、名前の由来とは無関係ですが、
ハイマツのハイを、英語の高い(high:ハイ)と
こじつけて、ハイマツと高山帯を結び付けて
おいてもよいでしょう。

【覚え方:その他の高山帯の植物】

その他の高山帯の植物の名前は、
花や果実の特徴に
由来するものが多いです。

共通テストのような
選択肢問題対策であれば、
いきなりフルネームで覚えようとせず、

花や果実の特徴に由来しそうな名前の
植物は、高山帯の植物

と関連付けておきましょう。

・キバナシャクナゲ
→ キバナ → 黄花に由来します。
キバナシャクナゲの写真

・コケモモ
→ 背が低く這うことをコケに、
赤い実をモモに見立てています。
コケモモの写真

・コマクサ
→ 駒草(こまくさ)と書きます。”駒”は、馬の意味です。
コマクサという名前は、花が馬の顔に似ていることに
由来します。

コマクサの写真

・ハクサンイチゲ
→ 白山(ハクサン:石川県と岐阜県にまたがる高山)で見つかった
個体が新種とわかり、ハクサンという言葉が入れられました。
イチゲは漢字で、”一花”、”一華”と書きます。
ハクサンイチゲの写真

・クロユリ
→ 黒いユリ。
クロユリの写真

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3-6. 北海道から沖縄までの垂直分布

ここまでは、本州中部における
垂直分布を解説していきました。

最後にワンポイント。

同じ標高であっても
高緯度になるほど、
気温が低くなります。

このため、

バイオームの垂直分布の境界の標高は、
高緯度になるほど低くなるのです(下図)。

日本列島の垂直分布の様子を示す図

もしも、あなたが、
沖縄に住んでいるなら、標高によらず
亜熱帯多雨林の植生が見られるでしょう。

もし、北海道のに住んでいるなら、
照葉樹林は見られず、標高の低い場所で
夏緑樹林や針葉樹林がみられます。

さあ、
これで日本のバイオームの解説も
おわりです。

最後に、日本のバイオームの
水平分布と垂直分布の内容を
表でまとめておきましょう。

 

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4:日本のバイオームのまとめ

下表:水平分布のまとめ

水平分布まとめの表

下表:垂直分布(本州中部)のまとめ

垂直分布のまとめの表

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