原核細胞と真核細胞

『この記事について』
この記事では、

・原核細胞と真核細胞の違い
・原核細胞の構造
・真核細胞(植物細胞と動物細胞)の構造

について、イラストと写真を多く用いて
分かりやすく解説しています。
目次

1. 原核生物と原核細胞、真核生物と真核細胞

細胞は、構造の違いから

・原核(げんかく)細胞
・真核(しんかく)細胞

に分けられます。

体が原核細胞で構成される生物のことを
原核生物とよび、細菌などが含まれます(下図)。

腸内の、細長い細菌の図が描かれ、原核細胞で構成と説明。

また、

体が真核細胞で構成される生物のことを
真核生物
とよび、
植物、菌類、動物などが含まれます(下図)。

植物の芽生え、キノコ、ヒトの図に対し、真核細胞で構成と説明。

原核生物、真核生物の具体例や、
単細胞生物、多細胞生物との関係については、
記事「原核生物と真核生物、単細胞生物と多細胞生物」
詳しく解説しています。

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2. 原核細胞と真核細胞の違い(全体像)

原核細胞と真核細胞の違いは、
以下のようにまとめられます。

詳しい解説は、
後の各項目で行います。

※:原核細胞と真核細胞の共通点については
 ⇒「細胞(さいぼう):全ての細胞に共通の特徴」

①大きさの違い

 原核細胞のほうが、
 真核細胞よりも小さい傾向がある。

②細胞小器官(さいぼうしょうきかん)
 という、細胞内の構造物の有無

 原核細胞には、細胞小器官が見られず、 
 真核細胞には、様々な細胞小器官が見られる。

 特に、核という細胞小器官の有無は、
 原核細胞と真核細胞の内部構造で
 最も目立つ違い。

 原核細胞が円形の平面図で描かれ、真核細胞である植物細胞の図が、角の丸い長方形の平面図で描かれている。原核細胞の内部には、何も描かれていない。真核細胞の内部には、大きな円形で描かれた核と、その他、小さなだ円形の構造物、黒く短い棒状の構造物、閉じた袋状の構造物が描かれ、これらを細胞小器官とよぶ。

染色体の存在部位の違い

 原核細胞の染色体は細胞質基質に存在し、
 真核細胞の染色体は核の中に存在する。

以降の項目3と項目4では、

・最も目立つ違いである核の有無
・染色体の存在部位の違い

について解説し、

項目5では、
原核細胞の構造の詳細について、

項目7では、
真核細胞(植物細胞と動物細胞)の構造の詳細
について解説します。

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3. 原核細胞と真核細胞の定義

原核細胞と真核細胞の
内部の構造で
最も目立つ違いは、

核(かく)

という構造物の有無です。

核の有無に基づき、
それぞれの細胞が
以下のように定義されます。

原核細胞:細胞内に核をもたない細胞

真核細胞:細胞内に核をもつ細胞

まずは、この核について
解説しましょう。

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4. 核

4-1. 核とは

核(かく)は、
核膜という膜によって
囲まれた構造物です。

真核細胞には、”ふつう”、
球形や、だ円体形の核が
1つだけ見られます(下図)。

球形、だ円体形の核を立体的に描いた図。核膜で囲まれると説明。

※上図では、核膜を不透明に
 描いていますが、実際は半透明です。

”ふつう”というのは、
つまり、例外アリという意味で、
後に解説します。

まずは、一般的な核の例として、
ヒトのほおの内側から採取した
細胞を見てみましょう。

細胞内の中央に、
1つの核が見られます(下図)。

球状の細胞の中央に、だ円体形の核が見える。色は無色で、図形のだ円のような、りんかくが見える。

また、
半透明の核膜を通して
核内が見えています(下図)。

核を拡大した写真。内部は、無色半透明。

次に、
例外的な核(形と数)の
具体例を挙げましょう。

生物基礎で後に扱う
人体の分野では、

・好中球(こうちゅうきゅう)
・赤血球(せっけっきゅう)

という、血液などに含まれる
細胞が出てきます。

好中球の核は、下図のように、
いびつな形をしています。

筒状の長い風船を2カ所でねじると、1つの風船だが3つの膨らみがある。そのような形をしている核。1つの核で、ふくらみが3つ。

一方で、
赤血球という細胞には、
核が見られません(下図)。

赤くて中央部がくぼんだ赤血球の図。

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4-2. 核の働き

核の働きは、

・DNAを内部に収める
・細胞の形質を決める
・細胞の形質を次世代に伝える
 
※形質:形と働き

ということです。

真核細胞がもつ
DNAは、主に、

染色体となって核の中に存在します。

残りのDNAは、後に解説する、
ミトコンドリア、葉緑体という
構造物の中に存在します。
※DNAと染色体について
 ⇒ 「細胞(さいぼう):DNAと染色体」 

核内に染色体があることは、
染色体を赤紫色に染める

酢酸(さくさん)カーミン
または、酢酸オルセイン

という液体を用いて
染色体を実験的に染めることで、
ハッキリと確認することが出来ます。

例として、
染色体を染める前と、染めた後の、
ヒトの細胞を見比べてみましょう。

染める前は、
核外も核内も似たような
様子に見えます(下図)。

核内と、核外の細胞内とを比べると、見た目はほぼ同じ。無色半透明で、特徴的な構造物は見えない。

しかし、染めた後は
核内が赤紫色に染まり、

染色体の存在を
ハッキリ確認できるのです(下図)。

核内だけが、薄い赤紫に染まっている写真。

この写真のポイントを、
模式図で描くと
下図のようになります。

円形に描かれた細胞内に、円形で描かれた核がある。核内には、糸状の染色体がみられ、糸が赤く染まっている。

この模式図では、
分かりやすくするため、
染色体を太く短く描いていますが、

実際は、もっと細長い状態で
核内に分散しています。

そのため
一般的な観察の写真では、

染色体の存在は確認できても、
染色体が糸状であることは
確認できないのです(下図)。

染色した後の核を拡大した写真。核内はモヤっと染まるだけで、糸状の染色体が入っていることは確認できない。

このように、核は、
染色体となったDNAを
内部に収めています。

そして、核は、
核内に収めた
DNAの働きに基づき、

細胞の形質を決め、
細胞の形質を次世代へ伝える
という働きを行うのです。

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4-3. 核と染色体に注目した、原核細胞と真核細胞の違い

原核細胞と真核細胞の構造には、
色々な違いがありますが、

核と染色体に注目して図を描くと、
下図のようになります。
※染色体は、実際よりも
 太く短く描いています。

原核細胞の細胞質基質内と、真核細胞の核内に糸状の染色体が描かれている。

原核細胞は核をもたず、
DNAは主に、

染色体となって細胞質基質に存在

しているのです。

真核細胞の染色体は、
先に解説したように、
核内に存在します。

なお、教科書によっては、
下図のように「DNA」と
表記しています。

先ほどと同じ図で、糸状の構造の名称が染色体でなく、DNAと表記されている。

これは、染色体に含まれる
DNAを指して、
このように表記しています。

では、これから、
原核細胞と真核細胞の構造を
より詳しく見ていきましょう。

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5. 原核細胞の構造

5-1. 形と大きさ

①形

原核細胞には、
色々な形のものがあります(下図)。

球形、カプセル薬形、らせん形の原核生物の模式図

この記事では、主に
球形の原核細胞の模式図を使って
解説しています。

②大きさ

原核細胞の大きさは、
真核細胞よりも小さい傾向
があります。

例えば、
大腸菌と、ヒトの平均的な
大きさの細胞の大きさを比べると
下図のようになります。

カプセル型の大腸菌の長さは、ヒトの平均的な大きさの細胞(形は球形)の直径の20分の1

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5-2. (原核細胞の)細胞壁

原核細胞では、
細胞膜の外側に、細胞全体を囲う
厚みのある構造物が見られます。

この構造物のことを、

細胞壁(さいぼうへき)

と呼びます(下図)。

球形の細胞の、細胞膜の周りに、細胞膜より厚い構造物が覆っている図。

細胞壁は、
とても丈夫にできており、

・細胞の形の維持
・細胞内の保護

などの役割を担っています。

細胞壁は
真核細胞にも見られ、
成分が異なります。

※真核細胞の細胞壁について
 ⇒ 「植物細胞の細胞壁
・・・・・・・・・・・・・・

生物基礎での
原核細胞の解説は、
これで以上です。

次に、
真核細胞の構造について
解説をしますが、

その前に、
ここまでの最重要ポイントを
確認問題で確認してみましょう。

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6. 確認問題1

下の文章中の空欄に適する語句を答えなさい。
⑦は、適切な語句を選んで答えなさい。

細胞内に核を持たない細胞を
(①)細胞よび、
細胞内に核を持つ細胞を
(②)細胞とよぶ。

(①)細胞のDNAは(③)に存在し、
(②)細胞のDNAは(④)の中にある。

いずれの場合も、DNAは、
(⑤)の形で存在している。

(④)の中に(⑤)が存在していることは、
(⑥)オルセインなどの液体を用いた
実験で確認ができる。

原核細胞は、一般に、
真核細胞よりも(⑦:大きく、小さく)
細胞膜の外側に(⑧)という
丈夫な構造物をもつ。 

・・・・・・・・・・・・

解答

細胞内に核を持たない細胞を
(①:原核)細胞よび、
細胞内に核を持つ細胞を
(②:真核)細胞とよぶ。

(①)細胞のDNAは(③:細胞質基質)に存在し、
(②)細胞のDNAは(④:)の中にある。

いずれの場合も、DNAは、
(⑤:染色体)の形で存在している。

(④)の中に(⑤)が存在していることは、
(⑥:酢酸)オルセインなどの液体を用いた
実験で確認ができる。

原核細胞は、一般に、
真核細胞よりも(⑦:小さく)
細胞膜の外側に(⑧細胞壁)という
丈夫な構造物をもつ。 

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7. 真核細胞の構造

7-1. 細胞小器官

真核細胞の内部には、
原核細胞には見られない、
さまざまな構造物が見られます。

真核細胞の内部にみられる、
特定の働きを行う構造物のことを、

細胞小器官(さいぼうしょうきかん)

といいます。

細胞小器官のまわりは、
細胞質基質で満たされています。

例として、
植物の細胞の模式図を
描いてみましょう(下図)。

平面図で描かれた四角い植物細胞の内部に、細胞小器官が描かれている。核の他、緑色をしただ円形のもの、黒く短い棒状のもの、白く大きな閉じた袋状のものが描かれている。

どのような細胞小器官を持つかは、
植物、菌類、動物などの
グループによって異なります。

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7-2. 植物細胞と動物細胞

生物基礎では、

・植物細胞:植物の体を構成する細胞

・動物細胞:動物の体を構成する細胞

の構造について詳しく扱います。

植物細胞と動物細胞には、
共通の構造として、

・核
・ミトコンドリア
・液胞(えきほう)

という3種類の
細胞小器官が見られます。

また、
植物細胞に見られ、
動物細胞に見られない構造として、

葉緑体

という細胞小器官と、

細胞壁(さいぼうへき)

という構造物があります。

以下、典型的な構造をもつ
植物細胞と動物細胞の模式図を用いて、
説明しましょう(下図)。

植物細胞と動物細胞の図。植物細胞の細胞膜の周りは、厚い構造で囲まれているが、動物細胞は、囲まれていない。植物細胞の内部には、核、緑のだ円の構造、黒く短い棒状の構造、白い閉じた袋状の構造があるが、動物細胞には、核と黒く短い棒状の構造しか描かれていない。

 

まずは、
共通の構造から解説しましょう。

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7-3.動物細胞と植物細胞の共通構造:核、ミトコンドリア、液胞

7-3-1. 核 

核については、
この記事の前半で解説しました。
⇒ 「

7-3-2. ミトコンドリア

①ミトコンドリアとは

ミトコンドリア
というのは、

細胞呼吸に関わる
細胞小器官
です。

細胞呼吸については、
後に解説します。

ミトコンドリアは、
植物細胞、動物細胞を含めた
ほぼ全ての真核細胞に見られます。

②ミトコンドリアの構造

ミトコンドリアには
色々な形のもの(棒状、糸状、球状など)が
あります。

この記事では、
棒状の形で模式図を
描いています(下図)。

植物細胞と動物細胞内に描かれ黒く短い棒状の構造を指して、ミトコンドリアとある。

ミトコンドリアを拡大して、
断面図を描いてみましょう(下図)。

1つのミトコンドリアを拡大し、横方向へ半分に切った断面図。断面は、肉食動物が口を開けた時に、上下の歯が見えているような、突き出した構造になっている。

ミトコンドリアは、
2重の膜(外側の膜と内側の膜)で
囲まれています。

先ほどの断面図で、
それぞれの膜の切り口だけを
色分けしてみましょう(下図)。

先の図の肉食動物の例えなら、口のまわり(くちびる)が外側の膜に相当し、歯の部分が内側の膜に相当する。外側の膜を青、内側の膜を赤で描いている。

内側の膜は、ウネウネと、
何度も折りたたまれた状態
になっています。

シイタケのかさの
裏にある、ヒダに似た
見た目をしています(下図)。

シイタケのかさの裏のひらひら(ヒダ)の写真

シイタケのかさを切って
組合せ、簡単な模型を作ると、
下図のようになります。

かさを、柄(シイタケの棒の部分)を含んだ1つの長方形と、2つ半円形に切り分ける。半円形同士を、切り口を付けるようにつなぐと、手こぎボートのような形になる。ボートの外回りは、シイタケのかさの茶色の部分で、ボートの内部は、ヒダの部分になっている。この形を、ミトコンドリアの内部構造の模型とする。

かさの外周りの茶色い部分が
外側の膜に相当し、

ヒダの部分が
内側の膜に相当します。

では次に、
働きの説明です。

③ミトコンドリアの働き

ミトコンドリアは

細胞呼吸(さいぼうこきゅう)
呼吸ともいう

という働きに関わります。

細胞呼吸については、
記事「細胞呼吸(呼吸)と光合成」
詳しく解説しています。

④ミトコンドリアのDNA

ミトコンドリアは、

それ自体がまるで、
1匹の生物であるかのような
特徴を持っています。

まず、
核のDNAとは別の、

独自のDNA

をもっています。

さらに、
細胞の中で分裂して、
増殖することが出来るのです。

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7-3-3. 植物細胞の液胞(えきほう) 

※動物細胞の液胞は、
植物細胞の液胞に比べると未発達で、
生物基礎では詳しく扱いません。

ここでは、
植物細胞の液胞について
説明しましょう。

①液胞とは

液胞膜とよばれる膜で
囲まれた細胞小器官を、

液胞(えきほう)

とよびます(下図)。

植物細胞の内部に、白く、閉じた袋状の構造が描かれている。

液胞の中は、
細胞液(さいぼうえき)という
液体で満たされています。

細胞液の主成分は
水です。

例えば、
果物をジューサーにかけると、
水が沢山出て、
ジュースが作れます。

この水の大部分は、
液胞内の水に
由来するものです(下図)。

リンゴをジューサーに入れて粉砕してジュースが出来るまでの流れ図。ジュースの図の上には、細胞が2つに割れて、液胞から液体がこぼれ出る図が描いてある。

②発達した液胞

液胞は、
植物細胞の成長と共に、
体積が大幅に増えて行きます。

細胞が成長するにつれて、
液胞が細胞内の多くを占める
ようになります。

このため、
成長した大きな植物細胞には、
発達した大きな液胞が見られる
のです(下図)。

この図では、小さな植物細胞の液胞は、全体の1割、大きな植物細胞の液胞は、全体の8割程度に描いてある。

③液胞の働き

〇細胞内の水分量の調節

調節のしくみは
詳しく扱いませんが、
タケにおける具体例を
1つ紹介しましょう。

春になって
しばらくすると、

地面からタケノコが
伸びてきます(下図)。

タケノコが1つにょきっと出てきた図

タケノコが伸びるスピードは、
速い時には、1日で
1m以上にもなります。

なぜ、タケノコは
そんなに速く
成長できるのでしょうか?

小さなタケノコには、
小さな細胞が、すでに十分な数
存在しています。

春の成長の時になると、
タケノコが吸った水が、
各細胞の液胞の中に入っていきます。

すると、液胞が水風船のごとく
大きくなり、それに伴い
各細胞がいっせいに伸びるのです(下図)。

細胞が4つ積み重ねて描いてある。短いタケノコでは、細胞は正方形に描かれ、伸びたタケノコでは細胞が縦長の長方形で描かれている。

これは、液胞によって、
細胞内の水分を増やすように
調節される例です。

〇細胞内の無機塩類の濃度を調節

液胞は、細胞の活動に必要な
無機塩類の濃度を調節します。

〇糖、無機塩類の貯蔵

例えば、
リンゴの甘さは、
液胞内の糖によります。

貯蔵されている糖と無機塩類は、
先に解説した、
水分量の調節や無機塩類の濃度調節に
利用されます。

〇老廃物(ろうはいぶつ)の貯蔵

老廃物というのは、
細胞内で生じた、細胞にとって
不要な物質のことです。

動物の場合、主に尿として
老廃物を体外へ放出しますが、

植物の場合は、液胞内に
ため込むのです。

例えば、
キウイフルーツやパイナップルの
果実の細胞では、

液胞内に針状の老廃物が
貯蔵されています(下図)。

キウイフルーツとパイナップルの絵。その下に、内部に針状の老廃物が何本も(多数の線で表現)入っている図。

生のキウイフルーツや
パイナップルを食べると、

口の中が
イガイガ(ピリピリ)する
ことがありますが、

これは、
液胞内にある針状の老廃物が、
口の中に刺さることが原因である
場合があるのです。

④アントシアン

植物細胞によっては、
液胞にアントシアンという
物質を含むものがあります。

アントシアンは、
赤、青、紫などの色を
発色する色素(しきそ)です。

花色や紅葉の色のもと
になります。

例えば、
アジサイの花の青色や赤色、
秋のカエデの葉の赤色は、
アントシアンによるものです(下図)。

青とピンクのアジサイの花、掌状のカエデの紅葉の図

では最後に、
植物細胞には見られ、
動物細胞には見られない
構造について解説しましょう。

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7-4.植物細胞には見られ、動物細胞には見られない構造:
葉緑体、細胞壁

7-4-1. 葉緑体

①葉緑体とは

光合成を行う
細胞小器官のことを、

葉緑体(ようりょくたい)

と呼びます。

葉緑体の形は、
凸(とつ)レンズ形(虫メガネのレンズの形)や
紡錘形(ぼうすいけい:レモンの形)です(下図)。

植物細胞内にレモン型の緑色の葉緑体が描かれている

葉緑体は、
2重の膜(内側の膜と外側の膜)に
囲まれた構造をしています。

内部には、
コインを多数重ねたような
形をした構造物があります。

これらが分かるように、
葉緑体を2方向から見た模式図を
描くと、下図のようになります。

下側には、2枚の膜に囲まれた内側に、コインを数枚重ねた、コインの柱のような構造を横から見た図が描かれている。4本描かれている。これを、葉緑体を横から見た図とする。上側には、これらの柱を上からみた図が描かれている。上から見ると、コインの柱は、最も上のコインだけが見えるので、それぞれ円形に見える。また、1枚1枚のコイン型の構造物は、緑色で描かれている。

コインを多数重ねたような
形をした構造物には、

クロロフィル

という緑色の物質が
含まれています。

このため、
葉緑体は緑色見え、

葉緑体を多く含む
植物の葉や茎も
緑色に見えるのです。

例えば、
オオカナダモという植物と
その細胞を見てみましょう。

すると、細胞内には、
多くの葉緑体が含まれている
ことが分かります(下図)。

オオカナダモの写真の右に、その細胞1つの写真がある。細胞内には多数の緑色の小石のようなツブがあり、これがミトコンドリアである。

②葉緑体の働き

光合成というのは、

光のエネルギーを吸収して、
デンプンなどの有機物を合成する働き

のことです。

光合成に必要な光のエネルギーは、
クロロフィルによって
吸収されます(下図)。

太陽の光のエネルギーを、コイン型の構造物にあるクロロフィルが吸収し、次にデンプンなどが生じることを、絵と矢印で描いてある。

光合成については、
記事「細胞呼吸(呼吸)と光合成」
より詳しく解説しています。

③葉緑体のDNA

葉緑体は、
ミトコンドリアと同様、

・核のDNAとは別に、
 独自のDNAをもつ

細胞内で分裂して、
 増殖できる

という、
あたかも1匹の
生物であるかのような特徴を
持っています。

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7-4-2. (植物細胞の)細胞壁

①細胞壁の主成分

植物細胞の
細胞膜の外側には、

細胞壁(さいぼうへき)

という構造物が見られます(下図)。

細胞膜のまわりを囲う、厚い構造が描かれている。

細胞壁は、
原核細胞にも見られますが、
成分が異なっています。

植物細胞の細胞壁の
主な成分は、

・セルロース
ペクチン

という物質で、

樹木の幹(みき)や枝の細胞では、
さらに、

・リグニン

という物質が、
主な成分に加わります。

これらの物質は、
身近なモノの例えると、

・セルロース:糸
・ペクチン:(接着剤としての)のり
・リグニン:セメント

です。

これらの物質は、
細胞壁が担う役割と関係して
いますので、

まとめて
解説しましょう。

②植物の細胞壁の役割

〇細胞の形の維持と、細胞内の保護

セルロースは
糸状の物質です。

何本ものセルロースが
集まったセルロースの束は、
とても丈夫です(下図)。

1本のセルロースの図と、9本のセルロースが合わさった束の図が描かれている。

1本のヒモよりも、多数のヒモを束ねた
ロープのほうが、ずっと丈夫であることと
同じです。

細胞壁には、
セルロースの束が
数多く通っています。

このため、細胞壁は、
細胞の内部に比べて
丈夫な構造になっており、

・細胞の形の維持
・細胞内の保護

の役割を担っているのです。

〇となりあう細胞同士を結び付ける

植物の体では、
となりあう細胞同士が、
細胞壁を介して結びついています。

ペクチンが、
接着剤のノリのごとく、

となりあう細胞同士を、
結びつける働きを
しているのです(下図)。

中央部に、四角い平面図で描かれた1つの細胞の4辺に、ペクチンを介して4つの細胞が結合している。

※上図は、ペクチンを強調して描いています。

〇植物の体を支える

セルロースを含む
丈夫な細胞壁をもち、

ペクチンによって
細胞同士がつながる。

それによって、
植物は、自分の体を支える
ことが出来るのです。

細胞壁のない植物細胞を風船、
細胞壁を段ボール箱に
例えてみましょう。

セルロースとペクチンを含む
細胞壁を持たない植物細胞で
体を作るというのは、

風船を重ね合わせて
何か構造物を作る
ようなものです。

これでは、
体を支えることは
出来ないでしょう(下図)。

5個の風船が重なってゆらゆら不安定にゆれている。

一方、
細胞壁を持つ植物細胞で
体を作るといのは、

1つ1つの風船を
段ボール箱に入れて、

これを重ね合わせて
構造物を作ることに
例えられます。

また、
箱同士は接着剤で
しっかり結合させます。

これならば、
体を支えることが
できるでしょう(下図)。

風船を段ボール箱にいれる。これを5つ重ねた図。安定している様子。

 

樹木の幹や枝の細胞の
細胞壁に含まれるリグニンは、
まるでセメントのように、

細胞壁を堅くして、
より丈夫にする働きをします(下図)。

リグニンを含む細胞壁が、濃い色で分厚く描かれている。その細胞壁を金づちでたたくと、堅くて星が飛んでいるイメージ図。

多くの樹木が、骨をもたずして、
私達の身長よりもずっと高く
伸びることが出来るのは、

幹や枝の細胞が、
リグニンを含む、堅くて丈夫な
細胞壁を持つことによるです。

私たちが生活で使う、
木のテーブルやイスは、
リグニンを含み堅くなった
細胞壁のカタマリなのです。

机の絵。テキストがのっていて、この図で、この記事の解説が完了することが書かれている。

では、最後に、
知識を表でまとめておきましょう。

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8. まとめの表:原核細胞と真核細胞の構造

まとめの表。細胞内外を仕切る細胞膜、細胞内を満たす細胞質基質、細胞の形質を決め、次世代へ伝えるDNA、の3つはすべての細胞に共通。細胞の形を維持し、細胞内を保護する細胞壁は、原核細胞、植物細胞がもつ。以下、細胞小器官。内部にDNA(染色体)を収める核、細胞呼吸に関与するミトコンドリア、細胞内の水分量の調節と老廃物の貯蔵を行う液胞は、真核細胞がもつ。ただし、動物細胞の液胞は未発達。光合成を行う葉緑体は植物細胞がもつ。

表中の〇は、その構造や物質を持つことを示す。

この記事の一番最後に、
「おススメの人気記事ベスト5」
があるよ。

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9. 確認問題2

下の文章中の空欄に
適する語句を答えなさい。
④は、適切な語句を選んで答えなさい。

植物細胞と動物細胞の
内部に共通してみられる
細胞小器官は、

核、(①)(②)である。

(①)は、細胞が酸素を利用して、
細胞が活動するためのエネルギーを
得る働きである(③)の一部を担う。

植物細胞の(②)は、
細胞の成長と共に(④:小さく、大きく)なる。

植物細胞には見られ、
動物細胞には見られない
構造として(⑤)(⑥)がある。

(⑤)は、光エネルギーを吸収する物質である
(⑦)をもち、光合成を行う。
(⑥)は、(⑧)という糸状の物質を含む
丈夫な構造物である。

細胞小器官の中で、
DNAを含むものは、
核の他に、(⑨)と(⑩)である。

・・・・・・・・・・・・・・・

解答

植物細胞と動物細胞の
内部に共通してみられる
細胞小器官は、

核、(①:ミトコンドリア)(②:液胞)である。

(①:ミトコンドリア)は、細胞が酸素を利用して、
細胞が活動するためのエネルギーを
得る働きである(③:細胞呼吸、または、呼吸)の一部を担う。

植物細胞の(②:液胞)は、
細胞の成長と共に(④:大きく)なる。

植物細胞には見られ、
動物細胞には見られない
構造として(⑤:葉緑体)(⑥:細胞壁)がある。

(⑤:葉緑体)は、光エネルギーを吸収する物質である
(⑦:クロロフィル)をもち、光合成を行う。
(⑥:細胞壁)は、(⑧:セルロース)という糸状の物質を含む
丈夫な構造物である。

細胞小器官の中で、
DNAを含むものは、
核の他に、(⑨:ミトコンドリア)と(⑩:葉緑体)である。
※⑨と⑩は順不同

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