『生物基礎』血糖値調節③:血糖値(血糖濃度)を上げるホルモン

『この記事について』
この記事では、
「血糖値調節①:血糖値、血糖値を調節する器官」
の続きとして、

血糖値(血糖濃度)を上げる
3つのホルモン

・グルカゴン
・アドレナリン
・糖質コルチコイド

による血糖値調節の仕組み
解説していきます。
mokuji

1:血糖値(血糖濃度)を上げる3つのホルモン

血糖値を上げる仕組みには
血糖値を下げる仕組みに比べて
より多くのホルモンが関与します。

血糖値を上げる働きをする
代表的なホルモンは

・グルカゴン
・アドレナリン
・糖質コルチコイド

というホルモンです。

これらのホルモンは、
体の状況に応じて
使い分けがなされています

私たちは、生きているだけで
細胞がグルコースを消費して
血糖値が低下していきます(下図)。

生きているだけで血糖値が低下

また、激しい運動をしたり
飢餓(きが)状態に陥った場合などは、

より大幅に血糖値が低下する
傾向があります(下図)。

激しい運動で血糖値が低下

こうした状況において、

グルカゴンは
あらゆる血糖値の低下に対応して
分泌されるのに対し、

アドレナリンと糖質コルチコイドは
激しい運動や飢餓状態などによる

血糖値の低下に対応して
分泌されるのです(下図)。

グルカゴンによる血糖値上昇

グルカゴン、アドレナリン、糖質コルチコイドによる血糖値上昇

また、糖質コルチコイドは、
体がストレス状態にある時の
血糖値上昇も担っています。

ストレスというのは
体のまわりの環境からの
有害な刺激によって

心や体の状態が
変化することを言います。

有害な刺激というのは
例えば、寒冷、ウィルスの感染、過度の緊張など
様々なものがあります(下図)。

ストレスを生じさせる刺激の例

こうした刺激による
ストレスに対抗する上で、

細胞の活動のエネルギー源となる
グルコースの血中濃度を
上昇させることが必要になるのです(下図)。

糖質コルチコイドによる血糖値上昇

それでは、これから

・グルカゴン
・アドレナリン
・糖質コルチコイド

による血糖値上昇の仕組みを
順番に見ていきましょう。

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2:グルカゴンによる血糖値上昇の仕組み

グルカゴンは
すい臓のランゲルハンス島にある
A細胞から分泌されます。

グルカゴンの分泌は
以下の2つの経路によって
促されます。

1つ目の経路は
血糖値が低下した場合に

A細胞自身が
血糖値の低下を感知して

グルカゴンの分泌が促される

という経路です(下図)。

A細胞からのグルカゴン分泌

この経路に加えて
さらに、

間脳の視床下部が
血糖値の低下を感知(※)して
※視床下部にある血糖調節中枢
という部位が感知

交感神経を通じて
すい臓に働きかけることで
細胞からのグルカゴン分泌を促す

という経路が働きます(下図)。

交感神経によるすい臓への働きかけ

こうして分泌された
グルカゴンは
肝臓に作用して

肝臓の細胞に蓄えられていた
グリコーゲンをグルコースに
分解する反応(※)を促進します。

※肝臓でのグリコーゲンの分解は
間脳の視床下部が交感神経を通して
肝臓に直接働きかけることでも促進されます。

その結果、

肝臓の細胞から血液中へ
グルコースが放出されて
血糖値が上昇するのです(下図)。

肝臓へのグルカゴンの作用

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3:アドレナリンと糖質コルチコイドの分泌腺

では、次に
アドレナリンと糖質コルチコイドの
解説に入りますが

3まず初めに
これらのホルモンを分泌する
内分泌腺の説明をしましょう。

アドレナリンは副腎髄質、
糖質コルチコイドは副腎皮質、
と呼ばれる内分泌腺から分泌されます。

まずは、
副腎髄質と副腎皮質の位置を
確認してみましょう。

腎臓の上部に
くっついている器官を
副腎といいます(下図)。

副腎の位置

副腎の断面を見てみると
内側と外側の二層のつくりに
なっています。

副腎髄質というのは
副腎の内側の層のことで

副腎皮質というのは
副腎の外側の層のことです(下図)。

副腎髄質と副腎皮質

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4:アドレナリンによる血糖値上昇の仕組み

激しい運動や飢餓状態などによる
血糖値の低下を間脳の視床下部が
感知すると

交感神経を介して、

すい臓からの
グルカゴンの分泌に加え

副腎髄質からの
アドレナリンの分泌が
促されます(下図)。

交感神経による副腎髄質からのアドレナリン分泌

アドレナリンは

肝臓と筋肉に作用して
肝臓と筋肉の細胞に貯蔵されていた
グリコーゲンを

グルコースに分解する反応を
促進することで

血糖値を上昇させるのです(下図)。

アドレナリンによる肝臓への作用

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5:糖質コルチコイドによる血糖値上昇の仕組み

激しい運動などによる血糖値の低下が
視床下部で感知された場合や
体にストレスがかかった場合、

脳下垂体前葉から

副腎皮質刺激ホルモン

というホルモンが
分泌されます(下図)。

脳下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン分泌

副腎皮質刺激ホルモンは
副腎皮質に作用して糖質コルチコイドの
分泌を促します(下図)。

副腎皮質からの糖質コルチコイド分泌

では、糖質コルチコイドの働きを
説明しましょう。

体には
細胞がもつタンパク質や脂質を
グルコースに作り替える
仕組みがあります。

作り替える際は
まず、タンパク質や脂質が
分解された後

分解で生じた物質をもとに
グルコースが合成されます。

タンパク質や脂質の構造は
グルコースの構造とは
大きく異なりますが

いったん細かく分解することで
グルコースに作り替え
やすくなるのです。

これはちょうど、
レゴブロックで作られたカエルを
キリンに作り替えるには

一度、バラバラにした方が
作り替えやすいことと
似ています。

タンパク質や脂質を
分解して生じた物質をもとにして
グルコースを作る反応過程のことを

糖新生(とうしんせい)

といいます(下図)。

糖新生

糖質コルチコイドは
全身の細胞に作用して

タンパク質、脂質の分解と
糖新生を促進することで
血糖値が上昇させる働きをする
のです(下図)。

糖質コルチコイドの作用

⇒「血糖値調節②:血糖値(血糖濃度)を下げる仕組み」

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『生物基礎』血糖値調節③:血糖値(血糖濃度)を上げるホルモン” に対して2件のコメントがあります。

  1. はるはる より:

    わかりやすい!!!苦手な範囲だったので助かりました、、あなたはだれ

    1. hideyuki より:

      はるはる さん

      記事を読んで頂き、
      ありがとうございます!

      血糖値を上げる仕組みの範囲は、
      細かいホルモン名や、複雑な流れ図が出てきて
      学ぶのが大変ですよね。汗

      はるはる さんの
      勉強のお役に立てたようで
      良かったです。
                    小宮

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