循環系①:循環系の分類1

この記事では
以下の項目を
解説しています。
mokuji

1.恒常性を支える循環系

体液を循環させる
器官のまとまりを
循環系といいます。

体内の細胞は
活動に必要な物質を
体液から吸収し

細胞内の不要な物質を
体液中に放出します。

その際に
心臓の働きによって
体液が循環することで

必要な物質が
常に細胞へ供給され

不要な物質は
細胞を浸す体液中から
取り除かれるのです。

ヒトの循環を
例にとってみましょう。

ヒトは
肺で酸素を体内へ
取り込みます。

肺で取り込まれた酸素は
体液が循環することで

体内の細胞へ
供給されるのです(下図)。

体液の循環による酸素の供給
 ※実線矢印:体液による酸素の運搬を示す。
  
点線矢印:細胞による酸素の吸収を示す。

 一方で

細胞が放出した
二酸化炭素は

体液が循環することで
細胞のまわりの体液中から
取り除かれます(下図)。

体液の循環による二酸化炭素の除去
 ※点線矢印:細胞による二酸化炭素の放出を示す。
  点線矢印:体液による二酸化炭素の運搬を示す。

そして、肺へと運ばれ
体外へ放出されるのです。

もしも
心臓が停止してしまったら
どうなるでしょうか?

細胞への酸素の供給という
視点で考えてみましょう。

心臓が停止すると
体液の循環が止まり

細胞への酸素の供給と
ストップします。

しかし

細胞は
心臓の停止後も
活動を続けます。

その結果
体液中の酸素は
どんどん少なくなり

細胞が酸素不足に
陥ってしまうのです(下図)。

心臓の停止による酸素不足

酸素不足の影響を
最も受けやすい細胞は
脳の細胞です。

脳の細胞の活動は
心臓が停止してから
ほんの数秒で大幅に低下します。

その結果
ヒトは意識を失って
しまうのです。

このように
循環系は

恒常性を支える上で
重要な役割を
担っているのです。

それでは
循環系について
詳しく解説していきましょう。

循環系は
血管系とリンパ系に
分けられます。

血管系は
循環系をもつ動物
全てにみられます。

一方

リンパ系は
脊椎動物だけに
みられます。

この記事では
血管系に注目して
解説をします。

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2. 血管系

2-1. 基本構造(動脈と静脈)


血管系は
心臓と血管で
構成されています。

心臓内と血管内を
流れる体液のことを

血液

といいます。

血管は

・動脈(どうみゃく)
・静脈(じょうみゃく)

に分けられます。

動脈というのは
心臓から体の組織へと向かう
血液が流れる血管のことです。

一方

静脈というのは
体の組織から心臓へと向かう
血液が流れる血管のことです。

このように

血管(動脈と静脈は)
心臓を基準にして
区別されます(下図)。

動脈と静脈

次に
血管系の分類について
解説しましょう。

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2-2. 分類(開放血管系と閉鎖血管系)

血管系は
つくりの違いから

・開放血管系
・閉鎖血管系

に分けられます。

開放血管系というのは
動脈と静脈の末端が
開いている血管系のことです。

末端が開いている
というのは

ホースの末端のように
口を開けている
ということです。

開放血管系をもつ
動物の体を

・心臓と血管(動脈と静脈)
・その他の体の組織

に分けた模式図を
描いてみましょう(下図)。

開放血管系

心臓を出た血液は
動脈の末端から血管の外へ出て、
組織内にある細胞と細胞の間を
流れます(下図矢印)。
動脈から組織中へ血液が出る

開放血管系においては
血管外へ出た体液も
例外的に血液と呼ばれます。

組織内の細胞の間を流れる血液は
細胞と物質のやり取りを行い

やがて静脈の末端から血管内に入って
心臓へと戻ります(下図矢印)。
組織から静脈へ血液が入る

開放血管系のつくりを
人間の道具でたとえるなら

石油ストーブに石油を
入れるための
ポンプのようです(下図)。
石油を入れるポンプ

ポンプの赤い部分が心臓
石油を吸い上げる管が静脈
石油が出る管が動脈に相当します(下図)。
石油ポンプと開放血管系
 ※図中矢印は液体の移動方向を示す。

開放血管系をもつ動物は

貝殻をもつ動物や
節足動物(せっそくどうぶつ)
などです。

節足動物には
エビの仲間や昆虫などが
含まれます。

次に

閉鎖血管系について
解説しましょう。

閉鎖血管系では

組織内に入った動脈が
枝分かれをして
細い血管になります。

この細い血管は
やがて互いに合流し

静脈となって
組織を出て行きます(下図)。

毛細血管

このように
動脈と静脈をつなぐ
細い血管のことを

毛細血管(もうさいけっかん)

とよびます。

閉鎖血管系というのは
動脈と静脈が毛細血管で
つながる血管系のことです(下図)。
閉鎖血管系の構造

閉鎖血管系では
血液そのものが血管の外へ
出て行くことはありません。

では

どのようにして
血液は、組織の細胞と
物質のやり取りを行うのでしょうか?

血液は
液体成分と有形成分(細胞)に
分けられます。

液体中に細胞が浮遊した
状態になっているのです。

また、毛細血管は
血管の壁にわずかな隙間があり

血液の液体成分のみが
毛細血管の外へ
しみ出せる構造になっています。

しみ出した液体成分は
組織の細胞との間で
物質のやり取りを行い

やがて
毛細血管内へと戻るのです(下図)。

毛細血管から液体成分がしみ出し、戻る

閉鎖血管系をもつ動物は
脊椎(せきつい)動物や
ミミズの仲間などです。

毛細血管を持つことは
血液を体の隅々まで送るうえで
都合がよいと考えられています。

例えば

私達は手の指先を
少し切ってしまっただけでも
傷口から血液が出ます。

これは
指先の毛細血管が
傷つくためです。

このように
閉鎖血管系をもつ動物では

体の隅々にまで
毛細血管が分布して
血液が効率よく送られているのです。

 

次の記事「循環系②:循環系の分類2」では
脊椎動物の血管系(閉鎖血管系)に的をしぼって
より詳しく解説していきます。

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確認問題
以下の空欄に
当てはまる語句を答えなさい。

①(  ):心臓内と血管内を流れる体液
②(  ):心臓から体の各部へと向かう血液が流れる血管
③(  ):体の各部から心臓へと向かう血液が流れる血管
④(  ):動脈と静脈をつなぐ細い血管
⑤(  )血管系:動脈と静脈の末端が開いている血管系
                            貝殻をもつ動物、節足動物などがもつ
⑥(  )血管系:動脈と静脈が毛細血管でつながっている血管系
          脊椎動物、ミミズなどがもつ

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解答

①血液 ②動脈 ③静脈 ④毛細血管
⑤開放 ⑥閉鎖


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