予防接種と血清療法

『この記事について』
この記事では、
物理的防御、化学的防御と免疫の短期マスターと書かれた図。
の応用編として、

 ・予防接種
 ・血清療法

について扱います。

どちらも、
免疫の仕組みを応用したもの
という点では共通ですが、

明確な違いがありますので、
その違いが分かるように
解説していきましょう。
目次

1:予防接種、ワクチン

感染症を予防するために
ワクチンを接種することを

予防接種(よぼうせっしゅ)

といいます。

ワクチンというのは、

予防接種に用いるために、
弱毒化、あるいは無毒化した病原体や毒素

のことです。

例として、
インフルエンザの予防接種を
取り上げてみましょう。

インフルエンザは、
インフルエンザウィルスによって
引き起こされる感染症です。

インフルエンザの予防接種では、
無毒化したインフルエンザウィルスを
ワクチンとして注射しています。

ふ~ん。でも、
どうしてワクチンを接種すると
感染症の予防につながるの??

それは、

ワクチンを接種することで、
体内に、
特定の病原体や毒素に対する
記憶細胞が生じるからです。

記憶細胞に関する詳しい解説は、
「免疫記憶」
で行っていますので、

ここでは、必要最小限の
解説をしましょう。

ヒトの体内には、
侵入した病原体や毒素を
排除するように働く細胞があります。

こうした細胞のうち、
T細胞、B細胞という細胞は、

これまでに体内に侵入したことの無い
病原体や毒素が侵入すると、

1週間程度かかって
活性化・増殖をした後に、
病原体や毒素を排除します。

増殖したT細胞とB細胞は、
病原体や毒素を排除すると
ほとんどが死滅しますが、

一部が、記憶細胞という細胞となって
体内に長期間残るのです。

記憶細胞は、再度、”同じ”病原体や
毒素が侵入した場合には、

初めての侵入時に比べて
より速やかに活性化・増殖します。

そのため、
より効率よく病原体や毒素を
排除できるのです。

以上の過程のうち、

記憶細胞がまだ生じていない
状態で病原体や毒素を排除する
反応のことを一次応答と言います。

また、
一次応答で生じた記憶細胞によって、
病原体や毒素が、効率よく排除される
反応のことを二次応答といいます。

予防接種では、一次応答と二次応答の
仕組みを上手く利用しているのです。

ワクチンを接種することで、
人工的に一次応答を起こします。

ワクチンに含まれる病原体や毒素は
弱毒化、あるいは無毒化してあるため、
ふつう、感染の症状は見られません。

一次応答の結果、
ワクチンに含まれる特定の
病原体や毒素に対する記憶細胞が生じます。

すると、
ワクチンに対応した病原体や毒素が
実際に侵入した時には、

記憶細胞による二次応答が起こり、
病原体や毒素が効率よく
排除されるのです。

このため、
仮に病原体に感染したとしても
発症しないか、発症しても軽い症状ですむのです。

ただし、
ワクチンを接種してから
記憶細胞が作られるまでには、
ある程度の時間がかかるので、

早めに予防接種を受ける
必要があるのです。

1月からの受験シーズンに向けての
インフルエンザ予防接種は、
前年の11月~12月頃に受けますね。

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2:血清療法

特定の抗体を含む血清を注射することで、
症状を軽減させる治療法

のことを、

血清療法(けっせいりょうほう)

といいます。

血清というのは、血液から、
血球と、凝固因子(ぎょうこいんし)という
血液を固める働きのある物質を
取り除いたもののことです。

※:詳細は「血清」で解説しています。

血清療法では、一般に、
動物(ウマなど)の血清を用います。

病原体や毒を動物に注射すると、
やがて、その病原体や毒に対する
抗体が作られます。

その動物の血液を用いて、
多量の抗体を含む血清をつくり、
治療に用いるのです。

現在の日本における血清療法は、主に、
毒ヘビに噛まれた場合に行われています。

体内に入ったヘビ毒は、
短い時間のうちに体に対して
悪影響を及ぼします。

このため、ヘビ毒を一刻も早く
排除する必要があるのです。

ヘビ毒に対する
人体の免疫反応が強まるまで
待っている時間がありません。

ヘビ毒に対する抗体を含む血清を注射することで、
抗体によって速やかにヘビ毒が排除され、
症状を軽減させることができるのです。

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3:まとめ(予防接種と血清療法の違い)

予防接種は、ワクチンを接種。人工的に一次応答を起こし、記憶細胞をつくることで予防。血清療法は、抗体を含む血清を注射。抗体によって病原体や毒素を排除することで治療。

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