ミクロメータ:接眼ミクロメータと対物ミクロメータの使い方

『この記事について』
この記事では、

接眼ミクロメータ、対物ミクロメータの使い方

に加えて、さらに、

実際に使ってみないと
気づけないような内容にまで、
突っ込んで解説しています。

器具を使ったことがある人にとっては
当たり前のことなのに、

使ったことが無い人にとっては
わかりにくい、

といった内容の入試問題が、

共通テストなどの入試では、
出題され得るからです。

ミクロメータを使う機会がない場合でも、
そうした出題に対応できるように
解説しています。
目次

1:ミクロメータ

1-1. ミクロメータとは?

ミクロメータは、
顕微鏡で観察している観察物の
長さを測定するための器具です。

ミクロメータには、

・接眼ミクロメータ
・対物ミクロメータ

が、あります。

1-2. 接眼ミクロメータ

接眼ミクロメータは、
透明な薄い円盤型の板の中央に
目盛りがついた作りをしており、

目盛には、ふつう、
数字がふってあります(下図)。

接眼ミクロメータの図。目盛はモノサシの目盛のよう。

接眼ミクロメータは、
接眼レンズの中に入れて、
観察物の長さを測定するために使います(下図)。

顕微鏡の写真。接眼レンズの部分に入れることを示している。

使用する上で重要なポイントは、

接眼ミクロメータの1目盛りが示す長さは、
顕微鏡の総合倍率で決まる

ということです。

その理由は、

総合倍率が変わると、
接眼ミクロメータの1目盛りの幅は変わらないのに、
見えている観察物の大きさは変化するからです。

低倍率で観察した時と、高倍率で観察した時とでは、
以下のように見え方が変わります。
(下図:1辺の長さが150 μmの正方形をしたものを観察)

正方形の一辺が、低倍率では、目盛りの45から60、高倍率では24から81を占めている。

低倍率で観察した時に比べて
高倍率で観察した時のほうが、

接眼ミクロメータの1目盛が示す長さは、
短くなっていることがわかります。

こうした事情があるため、
接眼ミクロメータを使用する際は、
観察物での測定を始める前に、

あらかじめ、各総合倍率で見た時の
接眼ミクロメータ1目盛が示す長さを
決めておく必要があるのです。

接眼ミクロメータ1目盛の示す長さを決めるには、
対物ミクロメータを用います。

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1-3. 対物ミクロメータ

対物ミクロメータは、
スライドガラスの中央に
目盛りがついた作りをしています(下図)。

対物ミクロメータの図。目盛りは、5目盛ごとにとても長く飛び出ている。

対物ミクロメータは、プレパラートと同様、
ステージの上に置いて使用します(下図)。

顕微鏡の写真。ステージの上に置くことを示している。

対物ミクロメータは、
接眼ミクロメータ1目盛りの示す長さを
計算するために使います。

対物ミクロメータの1目盛りは
10 μm(マイクロメートル)で、

これが100目盛り分、1 cmになるように
ふってあります(下図)。

対物ミクロメータの目盛の拡大図。目盛の端から端まで1cmで100目盛分。1目盛は、10μm分。

接眼ミクロメータと違い、
対物ミクロメータの目盛りと観察物との大きさの関係は、
総合倍率が変わっても変化しません。

なぜなら、対物ミクロメータの目盛りと観察物は、
同じレンズを通して、同じだけ拡大されるからです。

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3:ミクロメータの使用手順

ミクロメータを使う手順を
簡単に説明しましょう。

手順の一部に関して、より詳しい内容は、
あとの項目で扱います。

手順①
接眼ミクロメータを接眼レンズの筒の中に、
対物ミクロメータをステージの上に、
それぞれセットします(下図)。

顕微鏡の写真。接眼ミクロメータを接眼レンズに、対物ミクロメータをステージの上にセットすることを示す。

この状態で接眼レンズをのぞくと、
ふつう、接眼ミクロメータの目盛りが
下図のように斜めに見えます。

接眼レンズの視野が描かれ、中央に接眼ミクロメータの目盛があるが、斜めに傾いている。

接眼レンズを回すことで、下図のように
目盛りの向きを直しましょう。

接眼ミクロメータの目盛が傾いていない。

手順②
最も低倍率の対物レンズをセットします。

手順③
対物ミクロメータの目盛りにピントを合わせて、
接眼ミクロメータ1目盛りが示す長さを計算します。
→ 詳細:「4:接眼ミクロメータ1目盛りが示す長さの計算」

手順④
手順③の作業を、
残りの対物レンズでも行います。

手順⑤
手順④が終われば
対物ミクロメータは必要なくなるので、
ステージから取り外します。

手順⑥
観察物をのせたプレパラートで観察を行い、
接眼ミクロメータを用いて長さを測定します。
→ 詳細:「5:接眼ミクロメータによる長さの測定」

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4:接眼ミクロメータ1目盛りが示す長さの計算

計算方法は、以下の通りです。


接眼ミクロメータの目盛りの線と、
対物ミクロメータの目盛りの線が
ピッタリ重なる所を2カ所見つけます。
(下図例:太い矢印の位置で重なる)

重なる位置が2か所、矢印で示されている。


その2カ所の間にある
接眼ミクロメータの目盛り

対物ミクロメータの目盛りの数を数えます。

下図の例では、
接眼ミクロメータが4目盛り、
対物ミクロメータが3目盛りです。

目盛数が数えられるように、目盛を拡大した図。


『対物ミクロメータの目盛数 × 10 μm』
で、2か所の間の長さがわかります。

下図の場合は、
対物ミクロメータの目盛数が3目盛りなので、
2か所の間の長さは、30 μmだと分かります。

2か所間(矢印と矢印の間)が30μmであることを描いてある。


2か所の間の長さを、
接眼ミクロメータの目盛数で割ってあげれば、
接眼ミクロメータ1目盛りの示す長さが求まります。

下図の場合は、
接眼ミクロメータの目盛数が4目盛りなので、
接眼ミクロメータ1目盛りの示す長さは、
30 μm ÷ 4=7.5μmだと分かります。

接眼ミクロメータの1目盛りが7.5μmであることを拡大して描いてある。

公式化して記すと、
以下のようになります。

接眼ミクロメータ1目盛りが示す長さ(μm)
= 対物ミクロメータの目盛数 × 10 μm ÷ 接眼ミクロメータの目盛数

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5:接眼ミクロメータによる長さの測定

基本的な方法は、次の通りです。


長さを測定したい部分が、
接眼ミクロメータの何目盛り分であるか読み取る。


あらかじめ計算してある
接眼ミクロメータ1目盛の示す長さに基づいて、

接眼ミクロメータ1目盛の示す長さ × 目盛数

で長さを計算する。

だ円形の観察物の、下図で示された
部分の長さを測る場合を例にとって、
具体的な計算方法を見てみましょう。

横長の楕円の、横長部分の距離を測りたいとする。

観察物がのったプレパラートを
ステージに置いてピントを合わせたとき、
下図のように見えたとします。

接眼ミクロメータの目盛り、20から50のところに、楕円の横長部分が重なっている。

長さを測定したい部分は、
接眼ミクロメータで30目盛り
であると読み取れます。

仮に、あらかじめ計算した
接眼ミクロメータ1目盛りが7.5 μmであるなら、
測定部位の長さは

7.5 × 30 = 225 μmと計算できます(下図)。

楕円の横長部分が225μmであることが描いてある。

 

 

さて、ここまでの解説は、
観察物と目盛りが、読み取りに
都合よく重なっていた場合を想定しています。

しかし、
いつも都合よく重なっている
わけではありません。

こうした事は、
実際にミクロメータを使ってみないと
なかなか気づけませんが、

その分、入試では、狙われやすい
ポイントとなるのです。

そこで、
都合の悪い状態の典型例2パターンと、
その対処方法を解説しましょう。

パターン1

観察物が下図のような位置にある。

楕円形の観察物が接眼ミクロメータの目盛りよりもずっと上側に描いてある。

あなたなら、どう対処しますか?

このままの位置では、
対応する目盛数を正確に
読み取りにくいですね。

そこで、
プレパラートを動かして、
観察物と目盛りがうまく
重なる位置に移動させます。

例えば、以下のような位置に移動させると、
目盛りが読み取りやすいですね(下図)。

接眼ミクロメータの目盛り、20から50のところに、楕円の横長部分が重なっている。

パターン2

観察物が下図のような状態になっている。

楕円形の観察物と接眼ミクロメータの目盛りが重なってはいるが、目盛に対し、楕円の横長部分(測定したい部位)が斜めに位置している。

この場合は、どうしましょうか?

顕微鏡の構造上、観察物がのっている
プレパラートを回転させることは出来ません。

このような場合、
接眼ミクロメータが入っている
接眼レンズを回すことで、

測定した部位に対し、目盛りを適切に
重ねることが出来ます(下図)。

接眼ミクロメータの目盛り、20から50のところに、楕円の横長部分が重なっている。

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6:なぜ、対物ミクロメータで測定しないのか?

もしも、
対物ミクロメータの目盛りを
使って測定するならば、

対物ミクロメータの目盛りの上に
観察物をのせることになります。

測定という視点でいえば、
対物ミクロメータの目盛を使うことは、
以下の点で都合が悪いのです。

・目盛りが観察物の下になってしまい、
読み取りにくい、あるいは、読めない。


接眼ミクロメータなら、
目盛りは常に観察物の上にある。

・観察物と目盛りが一緒に動いてしまう。
 すると、例えば、目盛りを読み取りやすい位置に、
観察物だけを動かすことが出来ない(下図)。


接眼ミクロメータなら、
観察物だけを移動させられる。

・厚みのある観察物の場合、
観察物と対物ミクロメータの目盛りの両方に
同時にピントを合わせることが難しい。
どちらか一方が、ぼやけて見えてしまう(下図)。

⇔ 接眼ミクロメータなら、観察物と目盛の両方にピントがあう。

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7:確認問題

基本問題
接眼ミクロメータと対物ミクロメータを
光学顕微鏡にセットして接眼レンズを除くと、
視野内には、短い線の目盛と長い線の目盛が
下図のように見えた。
接眼ミクロメータと対物ミクロメータの目盛が重なって見える図

①下図中の記号A・Bは、それぞれ
接眼ミクロメータと対物ミクロメータの
どちらの目盛か? ただし、観察物の長さ
測定には、記号Bの目盛を使用する。
長い目盛には記号A、短い目盛に記号Bがふってある。

②上図を用いて、記号Bの目盛の1目盛の
 長さを計算し、単位とともに答えなさい。

③ ②で求めた長さを用い、下図の観察物の
 長さ(矢印で示された点線間の長さ)を求め、
 単位とともに答えなさい。
物体の長さは、接眼ミクロメータ21目盛分。

 

応用問題(顕微鏡操作の知識が必要)

観察物を入れたプレパラートを作り、
顕微鏡にセットした。視野内の観察物と
ミクロメータが下図1のように見えていたが、
ある操作を行ったところ、図2のようになった。

接眼ミクロメータと目盛と重ならない位置に長方形の物体が描いてある。物体の位置は、目盛よりも下側にあり、さらに時計回りに約30度傾いている。
図1

物体の角度は変わらず、接眼ミクロメータの角度が時計回りに30度ほど回転している。また、物体上に目盛が重なるように位置している。
図2

どのような操作をしたかを
述べた以下の文のうち、
最も適切なものを1つ
選んで記号で答えよ。

あ:プレパラートを図の上方向(↑)へ
  動かし、観察物と目盛を重ねた。
  次に、対物レンズを回転させることで、
  観察物と目盛の角度をそろえた。
い:プレパラートを図の上方向(↑)へ
  動かし、観察物と目盛を重ねた。
  次に、接眼レンズを回転させることで、
  観察物と目盛の角度をそろえた。
う:プレパラートを図の下方向(↓)へ
  動かし、観察物と目盛を重ねた。
  次に、対物レンズを回転させることで、
  観察物と目盛の角度をそろえた。
え:プレパラートを図の下方向(↓)へ
  動かし、観察物と目盛を重ねた。
  次に、接眼レンズを回転させることで、
  観察物と目盛の角度をそろえた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

基本問題の解答

①下図中の記号A・Bは、それぞれ
接眼ミクロメータと対物ミクロメータの
どちらの目盛か? ただし、観察物の長さ
測定には、記号Bの目盛を使用する。

A:対物ミクロメータ
B:接眼ミクロメータ

記号Aは対物ミクロメータ、記号Bは接眼ミクロメータであることが図中に書かれている

②上図を用いて、記号Bの1目盛の長さを
 計算し、単位とともに答えなさい。

7.5 μm

解説:
対物ミクロメータ3目盛と接眼ミクロメータの4目盛が重なっている。

上図矢印のように、対物ミクロメータ3目盛と
接眼ミクロメータ4目盛が重なっている。

対物ミクロメータの1目盛=10 μmなので、
対物ミクロメータ3目盛は、30 μm。

これが、接眼ミクロメータ4目盛と等しいので
接眼ミクロメータ1目盛は、

30÷4=7.5 μm となる。

③ ②で求めた長さを用い、下図の観察物の
 長さ(矢印で示された点線間の長さ)を求め、
 単位とともに答えなさい。

157.5 μm

解説:

物体の長さは、接眼ミクロメータ21目盛分。
7.5 μm × 21目盛 
= 157.5 μm

 

応用問題の解答

解説:

視野内の見た目は、実際とは
上下左右が逆になっている。

したがって、図中の観察物を視野の上方向へ
移動させる場合、プレパラートは、図の下方向へ
移動させる(下図)。
観察物を視野内で上へ移動させる場合、プレパラートは下方向へ移動させることが、矢印で描いてある。

接眼ミクロメータは、接眼レンズ内にあるので、
接眼レンズを回すと接眼ミクロメータも回る(下図)。
プレパラートを回すことはしない。
接眼レンズを回すと接眼ミクロメータも回り、角度がつくことが描いてある。

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