『生物基礎』血糖値調節①:血糖値(血糖濃度)、血糖値を調節する器官
『この記事について』
この記事では、
・血糖値(血糖濃度)
・血糖値を調節する器官
(間脳の視床下部、すい臓のランゲルハンス島など)
について解説しています。
後の記事
・「血糖値を下げるホルモン」
・「血糖値を上げるホルモン」
の基礎となる内容になっています。
目次
目次
1:血糖値(けっとうち)
1-1. 血糖値とは
グルコース
(ブドウ糖ともいう)は、
細胞にとっての主要なエネルギー源
となる物質です。
血液中に含まれる
グルコースのことを
血糖(けっとう)とよび
血液中の
グルコース濃度のことを
血糖値(けっとうち)
または、血糖濃度
とよびます。
ヒトの血糖値は、
空腹時の場合
質量濃度で示すと
約100 mg/100mL
重量%濃度で示すと
約0.1 %
です。
1-2.血糖値の変化
血糖値は、
食事などによって糖質(※)を
摂取すると上昇します。
※糖質:炭水化物の一種。
ヒトの食べ物に含まれる
糖質の例としては、
米やパンに含まれるデンプンや
甘い菓子に含まれる砂糖があります。
糖質が消化管内で
消化されるとグルコースが生じ、
このグルコースが
小腸で血液中に吸収されて
血糖値を上げるのです。
一方で、
運動などによって
細胞がグルコースをたくさん
消費した場合や、
十分な食事を長い間とることができず
栄養不足となる飢餓状態の場合などには
血糖値が低下します。
体には、このように血糖値が
上昇したり低下したりした場合に
その変化を抑えて
空腹時の血糖値
約100 mg/100mL(約0.1 %) に戻す
働きがあるのです。
次の項目では、まず、
この血糖値の調節に関係する
色々な器官を見ていきましょう。
2:血糖値(血糖濃度)の調節に関わる器官
2-1. 血糖値調節に関わる3つの器官
血糖値の調節は、
血糖値を上げる仕組みと
血糖値を下げる仕組み
に大別されます。
これらの仕組みには
色々な器官が関係します。
この項目では、
両方の仕組みに共通した器官である、
①間脳(かんのう)の視床下部(ししょうかぶ)
②すい臓
③肝臓
について解説しましょう(下図)。
2-2. 間脳の視床下部
間脳(かんのう)の視床下部(ししょうかぶ)
は
脳の中央部にある
間脳という部位に見られます。
(下図:脳の左側を取り除いた断面)。
※:視床下部の詳細は記事「内分泌系②」の
「視床下部と脳下垂体」を参照。
視床下部は
血糖値の変化を感知して
自律神経系(※)を介し、
すい臓からの、血糖値調節に関わる
ホルモンの分泌を促します。
※自律神経系の詳細は
記事「自律神経系」を参照。
2-3. すい臓
すい臓は、腹部の左上に
存在する器官です(下図)。
すい臓には、
ランゲルハンス島(とう)
と呼ばれる、
内分泌腺(ないぶんぴつせん※)
がみられます。
※:ホルモンを分泌する部位
すい臓の一部を拡大した
模式図を描いてみましょう(下図)。
上図のように、すい臓には、
消化液などを出す外分泌腺に
囲まれるようにして、
ランゲルハンス島が
存在しています。
ランゲルハンス島には
A細胞とB細胞(※)という
細胞が含まれます。
※:免疫分野のB細胞とは異なる。
A細胞には、グルカゴンという
血糖値を上げるホルモンを分泌する
働きがあり、
B細胞には、インスリンという
血糖値を下げるホルモンを分泌する
働きがあります(下図)。
とりあえず、ここでは、
A細胞から出るホルモンで血糖値が上がる、
B細胞から出るホルモンで血糖値が下がる、
⇒ 成績がAに上がる、Bに下がる
こじつけて覚えておきましょう。
2-4. 肝臓
肝臓は、腹部の右上から
中央上部に位置する
とても大きな器官です(下図)。
肝臓は多くの働きを
担っていますが
ここでは、血糖値の調節に
直接関係する働きにしぼって
説明しましょう。
グリコーゲンは、
沢山のグルコースをつなげた
構造をもつ物質です(下図)。
肝臓の細胞には、
血液中のグルコースを
取り込み、
グリコーゲンを合成して
細胞内に蓄える働きや
逆に、
蓄えてあったグリコーゲンを
分解して、
生じたグルコースを
血液中に放出する
働きがあります(下図)。
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それでは、次の記事から
これらの器官が
どのようにして血糖値を
調節するのかを解説していきましょう。