ヘモグロビンの酸素解離曲線:計算問題の解き方編
この記事では、
「ヘモグロビンの酸素解離曲線:見方編」
で解説した内容をもとに、
生物基礎の入試で
頻繁に出題されるタイプの
計算問題を解いてみましょう。
目次
問題
下図の2本の曲線(AとB)は、
二酸化炭素濃度が40、または、
70の血液での酸素解離曲線である。
上のグラフに基づき、
以下の問いに答えなさい。
①二酸化炭素濃度が40の血液での
酸素解離曲線は、曲線Aと曲線Bの
どちらか?
※この問題をミスすると、
後の問題も不正解になってしまう。
念のため、「①の解答」だけ先に
確認してみよう。
②肺胞の酸素濃度を100、
二酸化炭素濃度を40とする。
この時、肺胞では、
全てのヘモグロビンのうち
何%が酸素ヘモグロビンに
なっていると計算できるか?
③組織の酸素濃度は35、
二酸化炭素濃度を70とする。
この時、組織では、
全てのヘモグロビンのうち
何%が酸素ヘモグロビンに
なっていると計算できるか?
④全てのヘモグロビンのうち、
何%が組織で酸素を解離すると
計算できるか?
⑤肺胞の酸素ヘモグロビンのうち、
何%が組織で酸素を解離すると
計算できるか?
小数点以下を四捨五入して求めよ。
①の解答と解説
A
二酸化炭素濃度がより低いほうが、
酸素解離曲線が左上側に位置する。
⇒ 記事「見方編」の該当箇所
②以降の解答と解説
②96%
二酸化炭素濃度40の
酸素解離曲線(曲線A)で、
酸素濃度100の時の
縦軸の値をよむ。
③40%
二酸化炭素濃度70の
酸素解離曲線(曲線B)で、
酸素濃度35の時の
縦軸の値をみる。
④56%
肺胞と組織での
酸素ヘモグロビンの割合の差を
求めると、
96-40=56(%)となる。
⑤58%
”全てのヘモグロビン”のうち
ではなく、
”肺胞の酸素ヘモグロビン”のうち、
となっていることに注意する。
肺胞の酸素ヘモグロビンの割合(96%)と、
組織での酸素ヘモグロビンの割合(40%)の関係を
図で描くと、下のようになる。
さらに、組織で酸素を解離した
酸素ヘモグロビンの割合(56%)を描くと
下図の赤色点線枠のようになる。
この図から、
肺胞の96%の酸素ヘモグロビンのうち、
56%に相当する分が
組織で酸素を解離することが読み取れる。
よって答えは
56÷96×100≒58(%)となる。
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